chika matsuda

_DSC3044_DSC3053_DSC3063_DSC3068


「ねー」(中庭インスタレーション)
「ねー」と「ねー」(リトグラフ)
「色を塗った足の裏の上に立っている人」(パフォーマンス)

statement

    「ねー」と「ねー」

    「ねー」が「ねー」と言うので「ねー」も「ねー」と言いました。
    「ねー」は「「ねー」が「ねー」って言ったんだよねー」と訊きました。
    「ねー」も「「ねー」も「ねー」って言ってたよねー」と訊きました。
    「ねー」と「ねー」は顔を見合わせて、「ねー」と笑いました。

    単語のステップを踏み間違えリズムから外れてドタバタドタバタ転んで倒れて空を見上げる。あなたが「此処」といって立っている場所には、あなたがどいてくれないと、あなたのいう「此処」に私は立つ事が出来ない。言葉と言葉の広がる距離と世界に散らばる沢山の「私」。何処かで聞いた話。誰かに聞いた話。間違えて憶えた話。勘違いして話した。要約して話した。訳して話した。話の途中でしゃっくりして電車の音に掻き消されてパン屋の匂いに気を取られた。塞いだ耳から手を離したら鳴り続けていたドラムロールが消えた。テレビが喋るのが聞こえた。誰かが電話と喋るのが聞こえた。こっちを向いておおきな口を開けている人が見える。私に話しかけているの?それとも歌をうたっているの?拍手の数だけ蚊が潰れた。誰かが耳元でささやくように小さな声で思考した。誰かが耳元でささやいた、小さな声として思考した。あんまり声が小さいものだから、心の声を聞いた気になった。夢で誰かが話すみたいに、口は動かないのに話し声だけがこだましている。何処かで聞いたような話。誰かから聞いたような話。どこか間違えているような気がする。なにか忘れてるような気がする。昔話を子守唄に。耳を塞ぐと鳴り始めるドラムロール。血液が流れる音。ありもしない噂話を作って流す。ぐるぐる廻って本当の話になる。聞いた誰かが本当の話だと思って次に伝える。都合の良い話の伝達ゲーム。初めて聞いた、何度も聞いたような話。なにも新しい話を発明しなくたって、お洒落な台詞が天から降ってこなくたって、 語られるたびそれらの話は古くなり、熟成し、酸化して干涸びたり、カビを生やして増殖したり、それぞれの道を辿る。 春先に聞き取れなかった花の言葉を夏中考えていたのだけれど、去年は冬の到来が早く、それらは寒さに凍り雪に埋もれてしまった。また暖かくなり溶け出した言葉はもう始めのような軽やかな音は失われ、代わりにどろどろとした色と臭気を帯びる。

松田朕佳 Chika Matsuda 1983~

学歴
2010 アメリカ合衆国アリゾナ大学芸術学科修士課程修了
2006 ニュージーランド Nelson Marlborough Institute of Technology Visual Art 科卒業

アーティスト・イン・レジデンス
2014 Homesession (バルセロナ)RASi637(ティルヴァ、フィンランド)
2013 AGORA Winter Residency ( ドイツ、ベルリン )
2012 Prairie Center of the Arts ( アメリカ、イリノイ州 )
2011−2012 Border Art Residency ( アメリカ、ニューメキシコ州 )
2009 年 Process-Space Art Festival(ブルガリア、ボルチック)

個展
2014 TOPOS Highland 2014 アリコ・ルージュ 長野(10月開催予定)
2013 TOPOS Highland 2013 アリコ・ルージュ 長野
2012 「Fragments of A long Sentence」Sotoa Gallery ( アメリカ、テキサス州 )
2010 「Melt into the Atmosphere] Richard Levy Gallery ( アメリカ、ニューメキシコ州 )
2009 「Here-Standing Still」Graduate and Alumni Gallery ( アメリカ、アリゾナ州 )
「I cannot be at two places at the same time」Graduate and Alumni Gallery ( アメリカ、アリゾナ州 )
2008 「Static Motion」Lionel Rombach Gallery ( アメリカ、アリゾナ州 )

主なグループ展

2013
鬱間主観 インスタレーションミーティング 豆蔵 ・栄心堂ビル (長野市)・グレイスフル芸術館 (小布施町)
オブセオルタナティブ(小布施ミュージアム・木造館)
NIPAF アジアツアー
「Portrait In The Moving Image」Internationell Konst Fllm Utställning ( スウェーデン、ベーナムー )
「Do you see the forest? I see trees.」AGORA ( ドイツ、ベルリン )
2012
「The A.I.R Gallery 10th Biennial」The A.I.R Gallery ( アメリカ、ニューヨーク州ブルックリン )
「IRREVERSIBLE Magazine Winners Exhibition」Wynwood Exhibition Center ( アメリカ、フロリダ州マイアミ )
「Moving Image」Prairie Center of the Arts ( アメリカ、イリノイ州ピオリア )
「Videoholica 2012 International Video Festival」Archeological Museum VernaGallery Arhis(ブルガリア、ヴァーナ)
「NAGANO 新 CONCEPTUS」志賀高原ロマン美術館(長野県) 「まつしろ現代アートフェスティバル」松代藩文武学校(長野県)
「動きとしてのアート」ヴィオ・パーク劇場(長野県)
「Hands」[.BOX]Videoart Project Space(イタリア、ミラノ)
「Videoholica Special Selection 2011」VisualContainer(イタリア、ミラノ)
「New Mexico Showcase」516 ARTS(アメリカ、ニューメキシコ州)
2011
「Delight-becomes pictorial」Kore Press(アメリカ、アリゾナ州)
「Nod Nod Wink Wink: Con-cep-tual Art in New Mex-ico and Its Influ-ences」
Harwood Museum of Art(アメリカ、ニューメキシコ州) 「メタモルフォーシス」八十二文化財団ギャラリー82(長野県)

2011 「Videoholica Special Selection 2011」International Video Festival(ブルガリア)
2009 「First Place and Purchase Award」・Harwood Art Center, Crossing 2009 South West Graduate Student Competition ( アメリカ )
2008 「Outstanding Student Achievement in Contemporary Sculpture Award」・International Sculpture Center(アメリカ)
2007 「第 8 回スパイラル・インデペンデント・クリエーターズ・フェスティバル審査員赤池学賞」(東京)

http://chikamatsuda.com
TOPOS Atists page >>